眼を鍛える、とは?


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一般的に云うところの「上手い作品」。
それは要するに『正確に描けている』『みえた通り、写真のように描かれている』という
作品のことを、人は「上手い」というのが常識だったりいたします。
そして、そのように描けないと「才能がない」「不器用」だと定義したり思い込んでしまいます。

しかし、簡単にうまく描けるようになるコツがあるのです。



視点を変えれば「上手い」といわれる絵は誰でも描けるようになる


いつも常にみている、みえている三次元の世界。これをそのまま二次元の世界に
変換できていれば、イコール「上手い絵」。

《写真みたいだ!》《そっくりだ!!》

しかし、なかなかそういった作品を描けない。うまくいかない。
どうしてなのでしょう・・・



なぜうまく描けないの?

実はその答え。一番の理由はうまく描こうとするからなのです。

うまく描こうとするということは、簡単にいうと
思い込みや概念が入ってしまう
ということ。 そうすると、どんどんと
モチーフ(描く対象物)をみなくなり、自分の作品ばかりをみて、そこで
ああでもない、こうでもない、、、と (上手くみせようとしてしまい)、「らしくしよう」と
頭で描いてしまうことになります。
モチーフをみているつもりでも、それを結果、みていないで
「モチーフから受ける概念」で、作ってしまって描いているのです。

まずは、「上手く描こうとしないこと」・・・これが重要なコツとなります。

そのモチーフを「はじめて見る」という気持ちになってください。
次に重要なコツ。

「とにかくよく観るということ」


9割みて、1割で描く、というほどに、よく観てください


例えば四角い箱とコップと果物があったとします。
普通ならば、四角い箱!コップ!!果物!!! と、みえてしまいます。
しかし、できる限りそういった「概念」を切り捨てて、客観的に全体をみてください。
みえているもの、描こうとしているものの全体に、紙(もしくはキャンヴァス)の
縦横のサイズをあてがってみてください。
全体が「縦に長い」のでしたらば紙(キャンヴァス)を「縦」に。
全体が「横に長い」のでしたらば紙(キャンヴァス)を「横」に。

構図の重要性ということに関しては後でふれるとして、とにかくまずは
自分自身がカメラになったと思ってください。
みえているものを、できる限り客観的に。そしてその被写体(モチーフ)を
そのまんま、紙(キャンヴァス)に移せることができれば、「上手い作品」となるのです。

例えば
●ものとものとの間の形がどうなっているのか
●それぞれのもの・・・それらひとつひとつの上の位置・下の位置・右の位置・左の位置
を捉えていきながら、それぞれのその位置から「平行に・垂直に線をのばしてみると
どこにぶつかるのか、どこと一緒か」。。そんな風に、できる限りモチーフを客観視し
細かなところは気にせず、一番大きなところ(全体)から形をとっていく」
・・・これもまたコツであります。
(このあたりの具体的な説明も、後でふれることにいたします。)
●細かなところはできるだけ気にしないようにし、細部にはこだわらず
全体を常に意識して、少しずつ形にしていく。
(「箱が描けたから次はコップ!そして最後に果物!」などという進め方ではなしに
「全部でひとつ」という意識で観察してください。ものとものとの間(外側)のかたちで
とらえていっても良いでしょう。)


まだまだ細かなコツはいくらでもございますが、これらの重要なコツ「観かた」を
習得する(体感する)ことが、いわゆる「上手い絵を描けるようになる第一歩」だと
いえるでしょう。

技術は後からいくらでもついてきます。枚数を重ねていかれれば、必ずついてきます。
しかし、ほんとうは「こてさきの技術」ではなしに、「いかに客観的に観るか」
ということ(眼を鍛えるということ)こそ、上達への近道なのであります。

普通にものがみえていれば、あとはそのヴィジョンをそのまま
移動できれば、良いわけです。
まずは「うまく描こうとしないこと」
「細部にこだわらないこと」「とにかくよく観て、全体的に捉えること」
「はじめてそれ(モチーフ)をみる、という感覚で、客観的にみること」
「概念でみないようにすること」


これらを意識されるだけでも、いままでの作品(捉え方)とは大きく変化することでしょう。






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